Incantation (Salammbo) 祈祷(サランボー)

1897年

版画
Incantation (Salammbo)
寸法
31 × 41 cm(シート)
技法・素材
カラー・リトグラフ / 織物状の紙
所蔵
大英博物館(ロンドン)など

チェコの南モラヴィア地方出身で、アール・ヌーヴォー様式を代表する世界的芸術家。

✦ 見どころ(技法・色彩)

お香の煙を表現する退廃的なパープルと、神殿の闇を表す深い暗緑色が、サランボーの白い肌や黄金の装身具と強烈なコントラストを描いています。アール・ヌーヴォー特有の流れるような波状のラインが、呪われたヴェールの動きを美しく捉えています。

✦ この絵の舞台

紀元前3世紀、第一次ポエニ戦争に敗北した直後の古代北アフリカの都市国家カルタゴ。ギュスターヴ・フローベールの歴史小説『サランボー』に基づき、守護女神タニットの神殿の巫女であるサランボーが、奪われた神聖なヴェールを取り戻すため、神殿の奥深くで魔術儀式を執り行う場面です。

✦ 時代背景

19世紀末のフランス社会は、普仏戦争の敗戦によるナショナリズムの挫折から、歴史の血塗られたロマンティシズムや異国情緒、退廃的な官能性に深く魅了されていました。オペラ『サランボー』の大ヒットもあり、この悲劇のヒロインのイメージは当時の社会に広く共有されていました。

✦ 鑑賞のための問い

紫色の煙の向こう側で、彼女は一体何を見つめているのでしょうか?

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