The Girls on the Bridge 橋の上の少女たち
1918年

- 寸法
- 図版:499 × 430 mm、用紙:652 × 558 mm
- 技法・素材
- カラー木版画とジンコグラフ(亜鉛板リトグラフ)の混種技法、中薄の黄白色紙
- 所蔵
- ムンク美術館(オスロ)、個人蔵
✦ 見どころ(技法・色彩)
この作品は、カラー木版画とジンコグラフ(亜鉛板を用いたリトグラフ)を融合させた高度な技法で作られています。橋の手すりや大樹などの骨格部分を木版の青いインクで印刷し、その上にジンコグラフの版から緑、黄、赤のインクを刷り重ねました。木版画の力強さと、半透明な絵画的グラデーションが絶妙に調和し、鮮やかな色彩の交響曲を生み出しています。
✦ この絵の舞台
オーズゴールストランドの海岸にある、蒸気船が着岸する埠頭へと繋がる木製の連絡橋が舞台です。背景には実在する「キョーステラウド・マナー」の建物と、球根状の豊かな樹冠を持つ巨大なシナノキ、白い木製フェンスが描かれています。ムンクにとってこの村は、自らの漁師小屋を持ち、現地のコミュニティと結びつきを深めた特別な場所でした。
✦ 時代背景
19世紀末のヨーロッパは、急速な産業化と都市生活への反動から、世紀末のメランコリーや不安が蔓延していました。ムンクもまた「生老病死」の病的なドラマを描いていましたが、1899年のイタリア旅行で初期ルネサンスの壁画に感銘を受けます。彼の関心は個人的な不安から、秩序ある美学や生命の純真な象徴としての「子供の視点」へと移り変わっていきました。
木製の連絡橋の上に、3人の少女が並んで立っています。
手すりに寄りかかり、静かに水面を見つめています。
背景には、豊かな葉を茂らせる大きな木と、白いフェンス。
そして、立派な建物。
水面には、明るい光が反射しています。
作者は、ノルウェーを代表する画家エドヴァルド・ムンク。
ムンクといえば、どのような絵を思い浮かべるでしょうか。
「叫び」や「不安」といった作品に代表されるように、死や病、孤独といった重苦しいテーマを描く画家。
人間の内面にある恐怖を、歪んだ風景とともに描き出した画家。
そんなイメージが強いかもしれません。
でも実は、この作品は、彼がそうした暗い精神の淵から抜け出し、明るい現実へと帰還したことを示す一枚なのです。
1890年代、ムンクは「生老病死」の病的なドラマを描き続けていました。
世紀末のメランコリーに支配され、彼自身の心も深く傷ついていた。
しかし1898年、彼はノルウェーのオーズゴールストランドという村に、小さな漁師小屋を購入します。
この村の海岸線は、かつて彼が悲劇的な愛憎劇を目撃した場所。
深く傷を負った場所でもありました。
しかし、自らの家を持ち、現地のコミュニティとの結びつきを強めていく。
その中で、彼の心境に変化が訪れます。
翌1899年には、イタリアのフィレンツェを旅しました。
そこで初期ルネサンスの古典的なフリーズや壁画に深く感銘を受けます。
これらの経験が重なり、彼の関心は徐々に移り変わっていきました。
死や不安といった個人的なメランコリーから、秩序ある美学へ。
そして、生命の純真な象徴としての「子供の視点」へと向かっていったのです。
この続き:約620文字

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出典・参考資料
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