Leichtes 軽やかさ

1930年

Leichtes
寸法
69 × 48 cm
技法・素材
リポリン(工業用エナメル塗料)、厚紙(カードボード)
所蔵
ポンピドゥー・センター/フランス国立近代美術館(パリ、フランス)

✦ 見どころ(技法・色彩)

キャンバスと油絵の具ではなく、当時最新の工業用エナメル塗料「リポリン」を厚紙に塗って制作されています。筆跡を残さない平滑で高い光沢が特徴です。黒い対角線を骨組みとし、パステル調の長方形やピンクの円などの微小な要素がバランスよく配置されています。不透明な図形のシャープな境界線が、背景のブルーと鮮やかな対比を生んでいます。

✦ この絵の舞台

具体的な物理的場所は描かれていません。淡いターコイズブルーのグラデーションによって表現された、霧がかった神秘的な天空の領域が舞台です。重力が完全に排除された大気的な空間に、無数の小さな幾何学的なオブジェが浮かんでおり、全体が一つの壮大な視覚的星座のように構成されています。

✦ 時代背景

1930年、ドイツのデッサウにあるバウハウスで制作されました。当時は右翼政治勢力やナチスからの風当たりが著しく強まり、公的な助成金がカットされるなど、閉校への圧力が強まるサスペンスに満ちた社会状況でした。カンディンスキーは外界の不穏な騒音に拮抗するように、調和と軽やかさをキャンバスに結晶化させようとしました。

✦ 鑑賞のための問い

この無重力の空間に浮かぶ図形の中で、あなたが一番軽やかに感じるのはどれですか?

淡いターコイズブルーの霧がかった空間に、無数の小さな図形が浮かんでいます。
重力のない空に広がる、壮大な星座のようです。

1930年、ドイツのデッサウ。
カンディンスキーが教鞭をとるバウハウスは、激しく揺れていました。
右翼勢力やナチスからの風当たりが強まっていたのです。
公的な助成金はカットされ、閉校への圧力が日々高まっていました。

サスペンスに満ちた社会状況。
そんな不穏な騒音に拮抗するかのように、彼はアトリエで筆をとりました。
求めたのは、調和と軽やかさ。

彼はキャンバスと油絵の具を置き、厚紙に向かいました。
手にしたのは「リポリン」という最新の工業用エナメル塗料です。
筆跡を残さず、平滑で高い光沢を放つこの塗料。
工業デザインの美学を、絵画の上で実現しようとしたのです。

彼はさらに、専用の木製額縁にも自ら色を塗りました。
絵の中の精神的な空間を、外の世界へと染み出させるために。

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