Leichtes
1930年
✦ 見どころ(技法・色彩)
キャンバスと油絵の具ではなく、当時最新の工業用エナメル塗料「リポリン」を厚紙に塗って制作されています。筆跡を残さない平滑で高い光沢が特徴です。黒い対角線を骨組みとし、パステル調の長方形やピンクの円などの微小な要素がバランスよく配置されています。不透明な図形のシャープな境界線が、背景のブルーと鮮やかな対比を生んでいます。
✦ この絵の舞台
具体的な物理的場所は描かれていません。淡いターコイズブルーのグラデーションによって表現された、霧がかった神秘的な天空の領域が舞台です。重力が完全に排除された大気的な空間に、無数の小さな幾何学的なオブジェが浮かんでおり、全体が一つの壮大な視覚的星座のように構成されています。
✦ 時代背景
1930年、ドイツのデッサウにあるバウハウスで制作されました。当時は右翼政治勢力やナチスからの風当たりが著しく強まり、公的な助成金がカットされるなど、閉校への圧力が強まるサスペンスに満ちた社会状況でした。カンディンスキーは外界の不穏な騒音に拮抗するように、調和と軽やかさをキャンバスに結晶化させようとしました。

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