Study for Schwarz und Weiss
1909年
表現主義
✦ 見どころ(技法・色彩)
ポスト印象派や野獣派の強烈な色彩対比を踏襲しつつ、純粋抽象への飛躍を予感させる表現主義的な様式です。パレットナイフを用いた肉厚で情熱的な筆触により、具体的なモチーフは色彩の塊と化しています。黒の重厚な枠組みが色彩を強調し、白色の領域が画面に解放感を与える極限的なトーンの対比が見どころです。
✦ この絵の舞台
カンディンスキーとパートナーのガブリエレ・ミュンターが拠点とした、南ドイツ・バイエルン地方のアルプス山麓にある町ムルナウが舞台です。起伏のある丘陵や素朴な田園風景が広がるこの地は、彼が視覚的な再現性から離れ、自律的な絵画表現を模索する決定的な触媒となりました。
✦ 時代背景
1909年は、カンディンスキーが「ミュンヘン新美術家協会」を創設し、画家としての主導権を確立した年です。実社会の物質主義に失望していた彼は、芸術を通じた精神性の回復を求めていました。音と視覚表現の共感覚的な統合を目指し、舞台劇の草稿を執筆するなど、新たな表現を模索していた時期にあたります。

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