Kallmünz—Light-Green Mountains カルミュンツ―薄緑の山々
1903年

- 寸法
- 23.5 x 32.8 cm
- 技法・素材
- あらかじめ下地処理されたキャンバスに油彩、厚紙に貼付
- 所蔵
- シュテーデル美術館
✦ 見どころ(技法・色彩)
パレットナイフと刷毛を自在に操り、絵具を希釈せずに厚く塗り重ねる技法が用いられています。オリーブグリーンやエメラルドグリーンといった多層的な緑のグラデーションを主軸に、強烈なイエローや鴨の羽色を対比させ、初夏の陽光と大気の振動を表現しています。
✦ この絵の舞台
バイエルン州オーバープファルツ地方のレーゲンスブルク近郊に位置する古い町、カルミュンツ。ナーブ川とフィルス川が合流する豊かな水脈の傍らにあり、中世の城跡がそびえ立つ岩山と、谷間に広がる歴史的な家並みが特徴的です。カンディンスキーはこの地で、自然の景観が放つ光の振動を捉えました。
✦ 時代背景
1901年から1903年にかけて、カンディンスキーはミュンヘンでアヴァンギャルド芸術団体「ファランクス」を組織しました。アカデミズムや保守的な枠組みに対抗し、フランスのポスト印象派などの先駆的な表現技術を熱心に研究していた時期にあたります。
なだらかな緑の山肌が、画面いっぱいに広がっています。
手前には明るい黄緑色。
右の奥には、小さな家並みが見えます。
1903年の夏。
25歳のガブリエレ・ミュンターは、船で川を渡っていました。
向かった先は、バイエルン州の古い町カルミュンツ。
中世の城跡がそびえ立つ岩山と、谷間に広がる美しい町です。
港に到着した彼女を、一台の自転車が出迎えます。
乗っていたのは、ヴァシリー・カンディンスキー。
当時36歳。
彼女が通う美術学校の教師であり、すでに妻を持つ身でした。
彼は一足先にこの町へ入り、彼女の到着を待ちわびていたのです。
二人はこの町で、ともにイーゼルを立てました。
カメラで風景を切り取り、絵筆を握る日々。
美術アカデミーの門が女性に対して固く閉ざされていたこの時代、彼女の才能に深い敬意を払う彼との時間は特別なものでした。
そしてこの夏。
二人はこのカルミュンツの地で、密かに婚約を交わします。
誰にも言えない誓い。
この続き:約285文字

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