Love And Psyché アモールとプシュケ
1899年

- 寸法
- 218.7 × 129.2 cm
- 技法・素材
- キャンバスに油彩
- 所蔵
- 個人蔵
✦ 見どころ(技法・色彩)
愛の物語には赤やピンクが多用されがちですが、本作では薄青やクールな白、冷たい大気のトーンを基調とした寒色の色彩設計が行われています。これにより、地上の肉欲的な生々しさを排除し、二人の抱擁が極めて純潔で精神的な魂の結びつきであることを強調しています。
✦ この絵の舞台
本作の舞台は、重力から完全に解放された夢幻的な天上の虚空です。薄青い雲が何層にも波打つ神秘的な大気の中、アモールが愛の力によって若きプシュケを地上の苦難から奪い去り、自身が支配する神聖な天空の住処へと連れ去っていく、ダイナミックな飛翔の瞬間が描かれています。
✦ 時代背景
1899年当時の世紀末美術市場では、新興ブルジョワジーや英米のコレクターたちの間で、古典神話を口実にした完璧な肉体表現への需要が絶頂に達していました。ブグローは、純潔性と官能性が繊細にブレンドされた上品な作品を提供することで、高級サロン市場を独占し続けていました。
青い空と白い雲の中、二人の若者が抱き合いながら宙に浮かんでいます。
男性の背中には白い鳥の翼が
女性の背中には、青い蝶の翼が生えています。
紫色の布が風に舞い、二人の身体をふわりと包み込んでいます。
描いたのは、フランスの画家ウィリアム・アドルフ・ブグロー。
1899年、彼が73歳のときの作品です。
当時の彼は、フランス美術界の頂点に君臨していました。
完璧な肉体表現と上品な美しさは、世界中の富裕層から求められていました。
しかし、その私生活は決して穏やかなものではありませんでした。
1899年初頭。
ブグローは南仏のマントンに長期滞在していました。
自身の健康への不安。
そして何より、息子ポールの病気療養のためでした。
彼はこれまでに、最初の妻と、5人の子供のうち3人を亡くしていました。
残された息子ポールの命もまた、病に脅かされていたのです。
そんな過酷な状況の中で、彼は絵筆を握り続けました。
マントンの臨時アトリエで、執念を燃やして完成させたのがこの大作です。
絵の中の二人は、神話に登場するアモールとプシュケ。
過酷な試練を乗り越え、神々の祝福を得て結ばれた二人です。
この続き:約323文字

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出典・参考資料
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