Diana

1867年

神話
Diana
寸法
199.5 × 129.5 cm
技法・素材
カンヴァスに油彩
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

フランスの印象派を代表する画家の一人。リモージュの仕立て屋の家に生まれ、10代の頃はパリの磁器工場で皿に花束の絵付けを行う職人として働いていた。

保守的なサロンの規範に対する、不器用で切実な迎合と決別。神話のベールで覆い隠そうとしても溢れ出てしまった、生身の肉体への執着と現実の生命力。

✦ 見どころ(技法・色彩)

ルノワールの画業では極めて珍しい、パレットナイフを用いた重厚な絵の具の塗布が見られる。岩肌や苔、死んだ鹿の質感描写にはクールベの写実主義の影響が色濃い。一方で、鹿皮や背景の発光するような緑色、腰回りのローズピンクや赤のアクセントには、後の印象派へとつながる光と色彩への生来の嗜好が明確に表れている。

✦ この絵の舞台

苔に覆われた岩々と厚い樹木が画面の大部分を占める深い森の環境。画面右上隅にはわずかに薄青い空が垣間見える。古代ローマ神話の狩猟の女神ダイアナがいる神話的な空間として設定されているが、実際にはアトリエ内でモデルにポーズをとらせて描いた実像に、後から弓や死んだ鹿などの属性を付加して構築された架空の舞台である。

✦ 時代背景

1860年代後半のフランス。若手画家が社会的に成功するためには、保守的な公式サロン(官展)での入選が不可欠だった。当時のアカデミズム絵画の規範では、現実の女性の裸体をそのまま描くことは不道徳とされ、神話や歴史の主題に仮託する必要があった。この絵が落選した7年後の1874年、第1回印象派展が開催される。

✦ 鑑賞のための問い

右足を高く上げた不自然なポーズは、アトリエで何をしていた時の姿勢に見えますか?

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