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The Pont Neuf ポン・ヌフ

1871年

雨印象派
The Pont Neuf
寸法
53.34 × 73.03 cm
技法・素材
キャンバスに油彩
所蔵
ダラス美術館
クロード・モネ

フランス

クロード・モネClaude Monet

1840 – 1926

「印象派の父」とも称される、フランスを代表する画家。 自然の風景や水面に反射する光、天候によって絶えず移り変わる情景を、鋭敏な感覚でキャンバスに捉えた作風で広く…

✦ 見どころ(技法・色彩)

徹底した「灰色(グレー)のパレット」による、モノクロームに近い静寂な表現が見どころです。空には複数のウォームグレーが並置され、冷たい秋の雨が降る直前の曇天を描き出しています。雨に濡れて鏡のようになった路面には、黒い傘を掲げた人々や馬車の反射が捉えられ、輪郭線を持たない未完成なフォルムが、動的なブレの効果を生み出しています。

✦ この絵の舞台

パリの中心を流れるセーヌ川を跨ぎ、シテ島の先端を経由して右岸と左岸を結ぶ、パリに現存する最古の歴史的石造橋「ポン・ヌフ」です。モネは近くのアパートメントの窓から、有名な「ドーフィーヌ広場」に面した家並みを背後に、橋の上を行き交う人々を見下ろす俯瞰の視点で描きました。右奥にはアンリ4世の騎馬像が小さく見えます。

✦ 時代背景

1871年秋、普仏戦争とパリ・コミューンの内乱、そして「血の週間」と呼ばれた残酷な鎮圧によって、パリは完全に荒廃していました。ロンドンなどでの亡命生活から帰還したモネは、沈鬱なトラウマに沈み込んだ首都の姿を目の当たりにします。この作品は、戦後の重苦しい静寂と喪の心理に包まれたパリを記録した、モネ唯一の油彩景観画です。

✦ 鑑賞のための問い

雨に濡れた冷たい路面を歩く人々は、どこへ向かって急いでいるのでしょうか?

冷たい秋の雨が降る直前の、光の乏しい低い曇天。
雨に濡れて鏡のようになった路面。
黒い傘を掲げた人々や馬車が、急ぎ足で通り過ぎていきます。

1871年の秋。
クロード・モネは、1年以上の亡命生活を終え、パリへ帰還しました。
ロンドンとオランダでの避難を経てのことです。
しかし、彼を待ち受けていたのは、かつての華やかな首都ではありませんでした。
普仏戦争におけるプロイセン軍の執拗な砲撃。
それに続くパリ・コミューンの内乱と、国民軍による残酷な鎮圧。
「血の週間」と呼ばれた虐殺によって、パリの街は完全に荒廃していました。

モネの政治的心情は、コミューン側に好意的だったとされています。
しかし、彼が戻ったとき。
反乱はすでに、無残に鎮圧された後でした。

この荒廃した首都で、モネが自らの視覚的証言として描いた油彩の景観画。
それは、唯一この作品のみです。

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