Les Saisons 1 四季:冬
1896年

- 寸法
- 103 × 54 cm
- 技法・素材
- カラーリトグラフ、紙
- 所蔵
- ミュシャ財団
✦ 見どころ(技法・色彩)
多色刷りの石版画であるカラーリトグラフの技術が用いられています。氷を思わせる冷たいブルーの布を頭から深くかぶった女性が、積雪した枯れ枝に囲まれ、自らの胸にすがる小さな鳥たちを息で温めています。輪郭線には強弱のある有機的な曲線が使われており、女性の衣服のひだや植物の枝ぶりが優美に描き出されています。
✦ この絵の舞台
特定の具体的な実在の場所ではなく、季節の気候や情緒、大地のサイクルを寓意的な女性像によって表現したイマジネーションの空間です。雪が降り積もり、全ての植物が氷に覆われた、寒冷で静寂に包まれた荒野の雪景色が描かれています。
✦ 時代背景
1896年当時のフランスは、ロシア皇帝ニコライ2世の公式訪問により親ロシア・東欧趣味の渦中にあり、チェコ出身のミュシャへの注目が高まっていました。また、市民階級の台頭とリトグラフ印刷技術の進歩を背景に、家庭内の装飾需要が急速に高まった時代でもあり、特権階級のものだった美術が大衆へと開放されていきました。
雪が降り積もる枯れ木の中。
淡いブルーの布を頭からかぶった女性が立っています。
彼女は、寒さをしのぐように胸元に小鳥たちを抱き寄せ、そっと息を吹きかけています。
1894年末。
アルフォンス・ミュシャは女優サラ・ベルナールのポスター『ジスモンダ』を手がけました。
一夜にして時代の寵児となった彼。
1896年、パリのヴァル・ド・グラース通りに新しいアトリエを構えます。
そこには植物や彫像、数々の印刷物が溢れていました。
彼はこのスタジオで、モデルたちの写真撮影を熱心に行っていたのです。
当時のフランスは、ロシア皇帝ニコライ2世の公式訪問に沸いていました。
親ロシア・東欧趣味の渦中。
チェコ出身のミュシャへの注目も、日増しに高まっていきました。
そんな中、印刷業者F. シャンプノワが彼にある依頼をします。
広告の文字を一切入れない、純粋なインテリアとしての美術作品を作ること。
当時、美術品といえば、一部の特権階級が私的なサロンで楽しむものでした。
しかしミュシャは、春・夏・秋・冬の4枚からなる連作装飾パネル『四季』を通じて、芸術を一般の家庭へと届けようとします。
手頃な価格で販売されたこのアート。
急増する中産階級の心を捉え、爆発的なヒットを記録しました。
当時の批評家たちも、これを「宣伝用広告を超えた、それ自体が自立した芸術作品」として絶賛しています。
1897年には、美術批評家ジョルジュ・デシャンに直筆の献辞を入れたセットが贈られました。
ミュシャがパリの知識人たちと深い交流を持っていたことがうかがえます。
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出典・参考資料
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