Portrait du fils Bignou
寸法
92.3 x 65 cm
技法・素材
カンヴァスに油彩
所蔵
個人蔵

Portrait du fils Bignou

1933年

肖像画

20世紀前半に活躍したフランスの画家、彫刻家、映画監督。キュビスム運動に参画し、人体や自然を円筒形(シリンダー)の組み合わせで構成する独特の様式を確立したことか…

✦ 見どころ(技法・色彩)

レジェがそれまで多用していた厳密な幾何学の枠組みから離れ、より人間味のある表現へと変化しています。少年の白いシャツには波打つような流動的な筆致が施され、リラックスした印象を与えます。人物の肌が持つ温かみと、背景に描かれた人工的な緑色や市松模様の冷たさが対比され、計算された絶妙な色彩のバランスを生み出しています。

✦ この絵の舞台

生活感が最小限に抑えられ、幾何学的な要素で再構成された家庭内のリビングルームです。少年の背後には、黄色と黒の市松模様の壁紙や、鮮やかな緑色の円形、長方形が配置されています。木製の椅子の背もたれだけが、ここが室内であることを辛うじて暗示しており、人物と背景の装飾パターンが同じ画面上で等しく主張し合う、独特の浮遊感のある空間が作り出されています。

✦ 時代背景

1930年代初頭のフランスは、1929年の世界恐慌の余波が本格化し、社会の安定が揺らぎ始めた不穏な時代でした。芸術界では新古典主義からシュルレアリスムへと流行が移り変わる中、レジェは人民戦線による社会改革の機運に呼応していきます。芸術を一部の富裕層から解放し、大衆が視覚的に楽しめる「集団的な社会的芸術」を目指すという、彼のヒューマニズム的な思想への移行期にあたります。

✦ 鑑賞のための問い

少年の静かな瞳は、画面の先の何を見つめていると思いますか?

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