
- 寸法
- 129.7 × 97.2 cm
- 技法・素材
- カンヴァスに油彩
- 所蔵
- 個人蔵
Composition au damier (Composition jaune et noir)
1929年
抽象
✦ 見どころ(技法・色彩)
レジェのキャリアの中でも、純粋な抽象に極限まで接近した時期の重要な作品です。黄色、赤、黒、そして対比的な白やグレーが空間に配され、相互に反発しながらも完璧な色彩の調和を保っています。かつての鋼鉄パイプのような重さはなくなり、非常に平坦で軽やかな色面となって空間に放射されています。硬質な直線と、それを軽やかに侵食する有機的な曲線の重なり合いが、平面上に奇妙な深みと躍動感を創り出しています。
✦ この絵の舞台
現実世界の具体的な風景ではなく、レジェ自身が「無限の構成の自由」と呼んだ、重力や方向性から解放された多次元的かつ想像上の絵画空間です。唯一現実に存在する要素として、画面下部にチェッカー盤の黄色と赤のスクエア模様が配置されています。しかしこの盤面も水平や垂直を失い、異次元の力によって歪んでねじ曲げられ、マス目は吸い込まれるように画面右へと滑り落ち、抽象形態の渦へと溶解しています。
✦ 時代背景
1920年代終盤、工業機械の完璧さと規律を称賛する機械美学は限界を迎え、シュルレアリスムの有機的生命形態が勢力を拡大していました。レジェも自身の機械的構造を再解釈し、有機的要素との接触を図ります。また、1929年の世界恐慌による現実社会の秩序崩壊は、彼の絵画における完璧なグリッドの解体と、不確実で自由な浮遊空間の確立と同調していました。

出典・参考資料
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