Haskell’s House

1924年

水彩転換点
Haskell’s House
寸法
34.3 × 49.5 cm
技法・素材
ペーパーボードに鉛筆および水彩
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

20世紀のアメリカ美術界において、都市や地方の景観を透徹した光影表現で捉えた具象画家である。

商業イラストレーションからの決別と、真の芸術家としての自立。長年耐え忍んだ不本意な仕事を捨て、妻の導きのもとで自らの眼差しと造形美を確信した、静かなる決意の証明。

✦ 見どころ(技法・色彩)

ペーパーボードに鉛筆で緻密な遠近法線を引き、その上に透明水彩を重ねています。坂の下から見上げる構図で邸宅の威容を強調。鮮やかな白い外壁やパイングリーンの鎧戸に対し、日陰部分は深い紫で表現されています。歴史的建築の前に現代の電柱を遮るように描く、ホッパー特有の構図が光ります。

✦ この絵の舞台

マサチューセッツ州グロスターのイースト・メイン・ストリート171番地に立つ、フランス第二帝政様式のビクトリア調邸宅です。グロスターはニューイングランド最古の漁港の一つで、急勾配の坂道とクラシカルな建築群が残る街でした。当時高名な画家アーネスト・ハスケルが所有・滞在していたため、この名で呼ばれています。

✦ 時代背景

1924年はホッパーにとって人生最大の転換点でした。同窓の画家ジョセフィンと結婚し、彼女の勧めで屋外での水彩画制作に注力します。同年11月の個展で水彩画が完売する大成功を収め、長年耐え忍んできた商業イラストレーターの仕事を辞め、専業画家として自立を果たした記念すべき時期です。

✦ 鑑賞のための問い

歴史的な邸宅と無骨な電柱。あなたはどちらに現代の息吹を感じますか?

急勾配の坂の上にそびえる、白い壁のビクトリア調邸宅。
手前には、現代の電柱が空を遮るように立っています。

1924年。
この年は、エドワード・ホッパーの人生における最大の転換点でした。

7月、彼は同窓の画家ジョセフィンと結婚します。
妻となった彼女は、ホッパーに屋外での水彩画制作を強く勧めました。
そして、マサチューセッツ州の古い漁港グロスターへと彼を連れ出します。

そこで描かれたのが、この実在の邸宅でした。
当時高名な画家であったアーネスト・ハスケルが滞在していた家です。

同年11月、ニューヨークの画廊で個展が開かれます。
結果は、異例の大成功。
出品された水彩画全11点が、即座に完売したのです。

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