Stack of Wheat 積みわら
1890年

✦ 見どころ(技法・色彩)
描かれる対象の形態よりも、絵具の質感そのものが光を体現する「テクスチャの自律性」が確立されています。同じ場所で刻一刻と変化する光を追いかけるため、複数のキャンバスを同時に持ち出し、異なる瞬間の光学的変化を描き分けるという手法がとられました。
✦ 時代背景
1890年夏はモネの画業において劇的な変化の年でした。マネの遺作『オランピア』を国家のために買い取る募金運動に奔走し、約1年間の制作休止期間を経て画業に復帰した直後の時期にあたります。この後、1890年晩夏から秋にかけて、複数のキャンバスを同時に持ち出して同一モチーフを描き分ける「積みわら」の連作が本格的に開花しました。
雪に覆われた野原の中央に、大きな積みわらが一つどっしりと置かれています。本作は、クロード・モネが1890年の晩夏から秋にかけて本格的に着手した「積みわら」の連作の一つです。モネは特定の主題の物語性から離れ、同じ場所で刻一刻と変化する光を追いかけるために、複数のキャンバスを同時に持ち出して異なる瞬間の光景を描き分けました。この連作において彼は、描かれる対象そのものよりも、絵具の質感によって光を体現する「テクスチャの自律性」を確立しています。画面を覆う雪の白さや積みわらの表面に落ちる光の反射が、絵具の豊かな質感を通して表現されています。
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