Sandvika, Norway サンドヴィカ、ノルウェー
1895年

- 寸法
- 73.4 × 92.5 cm
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 所蔵
- シカゴ美術館
✦ 見どころ(技法・色彩)
雪の表現には、純粋な鉛白の厚塗りが用いられています。その上にコバルトブルー、ローズ、淡いイエローの極めて細かいタッチを重ねることで、太陽光が積雪に乱反射する光学的振動を生み出しました。濡れた絵の具の上に色を重ねる技法で、雪の三次元的な質量感を表現しています。
✦ この絵の舞台
描かれているのは、ノルウェーの首都オスロ近郊にあるサンドヴィカの村落です。画面中央には1829年に製造された鋳鉄製の「ルッケ橋」が架かり、赤い木造家屋が雪の中に佇んでいます。背後には、この地域のシンボルであるコルサース山の鋭い岩稜がそびえ立っています。
✦ 時代背景
1895年、54歳のモネは新たな風景を求めてノルウェーへ遠征しました。当時のノルウェーは初期産業化の途上にあり、ルッケ橋はその象徴的な建造物でした。モネは極寒の環境下で約2ヶ月間滞在し、そりで移動しながら戸外制作を行うという過酷な挑戦を遂行しました。
雪に覆われた村の風景です。
赤い木造の家々と、アーチ状の橋が描かれています。
背後には険しい山がそびえ立っています。
静かで美しい冬の情景に見えるかもしれません。
印象派らしい、光のきらめきを捉えた一枚。
でも実は、この絵の表面には「毛布の跡」が残されているのです。
近年のシカゴ美術館の調査で、驚くべき事実が判明しました。
絵の具が乾く前に、毛布のような繊維が押し当てられていたのです。
1895年1月28日。
54歳のクロード・モネは、フランスのジヴェルニーを出発しました。
複数の鉄道やフェリーを乗り継ぐ、長く厳しい旅。
彼が向かったのは、北欧の国ノルウェーでした。
2月1日、クリスチャニアに到着します。
現在のオスロであるその街を待っていたのは、記録的な大寒波でした。
見渡す限りの氷の世界。
フィヨルドの水面すら完全に凍りついていました。
水面の反射を描きたかったモネは、深い絶望を味わいます。
彼を救ったのは、現地に住む義理の息子でした。
ジャック・オシュデ。
妻アリスの連れ子である彼は、養父のためにそりを手配します。
そして、数日間にわたる雪原への旅に同行したのです。
そりの上から見た景色。
凍てつく滝。
広大な雪原。
夕陽に赤く染まるコルサース山。
その圧倒的な美しさに、モネは心を奪われました。
彼はサンドヴィカの村にあるゲストハウスに拠点を置きます。
そこから約2ヶ月にわたる、過酷な戸外制作が始まりました。
マイナス数十度の猛吹雪。
モネは髭を凍らせながら、そりの上で筆を動かし続けました。
キャンバスは、パリの画材店からあらかじめ取り寄せていた最高級品でした。
現地での調達が難しいことを見越していたのです。
そこに、雪の輝きを執拗に叩き込んでいきます。
しかし、極寒の屋外では絵の具はすぐに乾きません。
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出典・参考資料
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