The Angelus 晩鐘

1857年

祈りバルビゾン派
The Angelus
寸法
55.5 × 66.0 cm
技法・素材
油彩・カンヴァス
所蔵
オルセー美術館(パリ)

19世紀のフランスにおいて、卑小とされていた農村での労働を、神聖さと古典的な威厳を伴う大画面に定着させた写実主義の画家である。

幼き日に祖母と捧げた、死者への祈りの記憶。過酷な労働の果てに響く鐘の音に、農民の静謐な尊厳と深い郷愁を刻みつけた、追憶の風景。

✦ 見どころ(技法・色彩)

キャンバスに赤褐色や中性色の下地を施し、それを透けさせるスカンブリング(擦筆)技法を用いることで、夕暮れ時の空気の層を表現しています。一方で、農民の粗末な衣服や足元の土には絵具を厚く盛り上げるインパスト技法が使われ、物体の重厚な物質感が強調されています。

✦ この絵の舞台

舞台はフランスのバルビゾン村に隣接するシャイイの平原。季節は秋、時刻は日没時の薄暮です。遠景の地平線上には、隣村シャイイ=アン=ビエールに実在するサン=ポール教会の尖塔が小さく描かれています。当時の農村では、夕刻になると教会の鐘が鳴り、一日の過酷な農作業の終わりと祈りの時間を告げていました。

✦ 時代背景

1850年代のフランスは、ナポレオン3世の治世下で急速な産業革命と都市改造が進んでいました。農村から都市部への激しい人口流出が起こり、伝統的な農村の生活様式が消失の危機に瀕していた時代です。都市住民の間には、失われゆく農村への強い郷愁が生まれていました。

✦ 鑑賞のための問い

二人の視線の先にある小さな竹籠には、何が入っていると思いますか?

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