Ships Riding on the Seine at Rouen セーヌ川の船舶、ルーアン
1872年

- 寸法
- 37.7 × 46.0 cm
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 所蔵
- ワシントン・ナショナル・ギャラリー
✦ 見どころ(技法・色彩)
水平線を画面の中央に置き、実景と水面への投影を幾何学的な対称性で対比させています。水面はアイスブルーを基調とし、短い水平のダッシュや波状のストロークで船や帆の影を描写。この筆触分割により、微風で振動し光を乱反射する水面の物理的なリアリティを表現しています。
✦ この絵の舞台
舞台はフランス北西部ノルマンディー地方の古都ルーアンを流れるセーヌ川の河畔。中世の壮麗な大聖堂を擁する一方で、19世紀当時は水運を利用した一大工業都市として急速な発展を遂げていました。画面左端には近代的な工場煙突と中世の尖塔が混在し、川面には2隻の帆船が停泊しています。
✦ 時代背景
普仏戦争後のフランス復興期。モネは亡命先から帰国し、アルジャントゥイユに定住しました。当時のセーヌ川下流は、近代化、工業的発達、市民のレジャーが交錯する場所でした。モネは不変の自然ではなく、蒸気船や煙突の煙など、流動する「現代性」こそを絵画の主題とすべきだと考えていました。
画面のちょうど中央を横切る水平線。
上半分には薄霧に包まれたルーアンの街並みと空が広がり、
下半分にはその景色が揺らぐ水面に映し出されています。
2隻の帆船が錨を下ろし、静かな時を刻んでいます。
1872年。
普仏戦争による亡命生活からフランスへ帰国したモネは、
復興と近代化が進むセーヌ川流域に魅了されました。
中世の尖塔と近代的な工場の煙突が混在する景色。
それは彼にとって、まさに「現代」そのものでした。
モネは、不変の自然ではなく、
刻々と変化する現代の風景こそを描くべきだと確信します。
この新しい絵画の価値をいち早く見抜き、
本作の最初の所有者となったのが、エルネスト・オシュデでした。
高級テキスタイルを扱う商社を経営する富裕なブルジョワ。
彼は最初期の印象派を最も熱狂的に支援したパトロンでした。
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出典・参考資料
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