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Reply of the Zaporozhian Cossacks トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャ・コサック

1880年

Reply of the Zaporozhian Cossacks

画像: Wikimedia Commons / Public Domain

寸法
縦 203 cm × 横 358 cm
技法・素材
油彩、カンヴァス
所蔵
ロシア美術館

19世紀後半のロシア写実主義を牽引した画家であり、「移動派」を代表する中心的な人物。

権力に媚びず、自由・平等・友愛を保持するコサックの民衆精神に深く感銘を受け、彼らの誇りと生命力を歴史の真の主役として描き出すこと。

✦ 見どころ(技法・色彩)

画面手前右側の「背を向けた禿頭の人物」や左側の「上半身裸の男」が視覚的バリア(レプソワール)となり、鑑賞者をコサックの輪の中に引き込む密閉型構図が作られている。また、速く力強い直接塗りの筆致(インパスト)により、鮮やかな伝統衣装や金属の光沢がリアルに表現されている。

✦ この絵の舞台

17世紀後半(伝説では1675年または1676年)のザポロージャのシーチ(現在のウクライナ南部、ドニエプル川下流域)における軍事野営地。時刻は夕刻で、低く差し込む夕日の光線と焚き火の煙が交差している。

✦ 時代背景

1880年代のロシア帝国は、露土戦争(1877年–1878年)の直後であり、社会全体でパン・スラヴ主義や対オスマン帝国感情が高まっていた。また、移動派運動の中で、名もなき民衆を歴史画の主役に据えるリアリズム美術が台頭していた時期でもある。

✦ 鑑賞のための問い

この絵の中から、あなたに一番大きく聞こえてくるのは誰の笑い声ですか?

夕暮れの大草原に、男たちの野太い笑い声が響き渡っている。低く差し込む夕日の光線と焚き火の煙が交差する中、彼らはオスマン帝国のスルタンから突きつけられた降伏要求に対し、恐怖するどころか腹を抱えて大爆笑し、ありったけの侮蔑と嘲笑を込めた返事を書き殴っているのだ。画面の中心には小さな木の机があり、羽ペンを握りしめた書記が不敵な笑みを浮かべている。その周りには、パイプを咥えて満足げに煙を吐き出す隊長、赤い上着を着て腹がよじれるほど笑い転げる巨漢、頭に包帯を巻いた強面の戦士など、個性豊かな男たちがひしめき合っている。背景には軍事キャンプから立ち上る煙や槍の林が緻密に描き込まれ、野営地全体の混乱と活気が、むせ返るような生命力とともにキャンバスの枠を超えて押し寄せてくるかのようだ。

権力者の脅しを笑い飛ばす、名もなき戦士たちの熱狂

この圧倒的なエネルギーに満ちた群像劇を生み出したのは、19世紀ロシア・リアリズムの巨匠、イリヤ・レーピンである。彼がこの作品の構想を抱いたのは、1870年代末のことだった。ある日、アマチュア民俗学者が発見したとされる古い写本のテキストを、友人の歴史学者ドミトリー・ヤヴォルニツキーが仲間たちの前で朗読した。それは、17世紀後半にザポロージャのシーチ(ドニエプル川下流域のコサックの根拠地)にいたコサックたちが、オスマン帝国のスルタンからの降伏勧告に対して送ったとされる返書だった。

その手紙の内容は、外交文書とは到底思えないほど下品で、攻撃的で、痛快な嘲笑に満ちていた。強大な帝国からの脅迫を前にしても、彼らは微塵も怯むことなく、むしろ相手を徹底的にコケにして笑い飛ばしていたのだ。近代の歴史学の研究では、この手紙は史実ではなく17世紀末から18世紀にかけて作られた文学的創作(偽書や伝説)であるとされている。しかし、そのテキストが放つ力強い風刺性と民衆の精神は、レーピンの心を激しく揺さぶった。

現在のウクライナ・ハルキウ近郊に生まれ、自身もコサックの血を引くという自負を持っていたレーピンにとって、彼らの姿は理想の人間像そのものだった。レーピンは書簡の中で、興奮冷めやらぬ様子でこう記している。「ゴーゴリが彼らについて書いたことはすべて真実だ!聖なる民だ!世界で誰も彼ほど深く自由・平等・友愛を保持した者はいない」。権力に媚びず、仲間との絆を重んじ、自由を謳歌する名もなき戦士たち。レーピンは、彼らの魂をキャンバスの上に蘇らせることを決意した。

しかし、その道のりは決して平坦なものではなかった。レーピンはこの一枚の絵を完成させるために、実に11年もの歳月を費やすことになる。彼は架空の人物を想像で描くことをよしとせず、徹底したリアリティを追求した。1880年代を通じて、彼はウクライナ各地へ精力的に取材旅行に出かけた。クラスノダール近郊の集落では長老たちから昔話を聞き取り、伝統的な衣装や武器をスケッチした。歴史学者ヤヴォルニツキーの案内でコサックの遺跡を巡り、さらには発掘された実際のコサックの頭蓋骨を観察して、露出した白い歯並びまで写生したという。

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この続き:約1,870文字

  • ・密かにスケッチ?実在モデルたちの意外な裏話
  • ・一人ひとりに異なる「笑い」を描き分けた革新性
  • ・初公開で巻き起こった賛否両論と評価の行方

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