Abend (around 1924)
✦ 見どころ(技法・色彩)
パステル特有の柔らかい色彩の融合と、粉末状の絵の具がもたらすビロードのような物質的質感が活かされています。地平線近くの穏やかなピンクや桃色の残光から、天空の深いトワイライトブルーへと継ぎ目なく移り変わるグラデーションが、深い静寂を呼び起こします。
✦ この絵の舞台
オーストリアのシュタイアーマルク州、グラーツ近郊の山岳地帯がモデルです。起伏の激しいなだらかな丘陵と深い谷が連なる豊かな自然環境が描かれています。現実の地勢をベースにしつつも、山脈が生き物のようにうねる、画家の内面化された心の風景として再構成されています。
✦ 時代背景
1924年のオーストリアは、第一次世界大戦の敗戦による帝国の崩壊から続く、社会的変革と政情不安の渦中にありました。都市ウィーンの喧騒から離れ、画家が銀行員を辞めてグラーツの美術学校に入学し、芸術家としての第一歩を踏み出した決定的な転換期に制作されました。

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