Untitled (Study for Improvisation I)
1908年
習作
✦ 見どころ(技法・色彩)
極めて素早く置かれた水彩の流れるような色彩の塊と、その上に閉じた輪郭を作らず、自由に漂うように引かれたペンや鉛筆の線が特徴です。線が事物の形を説明する役割から解放され、それ自体が感情のうねりを表現する独立した要素として機能し始めています。
✦ この絵の舞台
南ドイツのバイエルン地方アルプスの麓、スタッフェル湖に臨む美しい中世風の村ムルナウ・アム・シュタッフェルゼーの自然環境が描かれています。遠景の山や中央の木々、歩く複数の人物らしき姿が、具体的な地形から徐々に溶解し始めている情景です。
✦ 時代背景
1908年、カンディンスキーがガブリエレ・ミュンターらと共にムルナウに長期滞在し、共同制作をスタートさせた時期です。彼らがバイエルンの民俗芸術である「裏彩色ガラス絵」に出会い、写実的な描写から解放され、純粋抽象へと向かう決定的な転換点となりました。

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