Noanoa Pl.45

- 寸法
- 20.5 × 13.8 cm
- 技法・素材
- 木版画、型紙(ステンシル)刷り、紙
- 所蔵
- シカゴ美術館
西洋の都市産業文明への強い疎外感と、汚されない自然への渇望。単調な複製を拒絶し、紙の表裏や手彩色を駆使して原初的な生命の身振りを刻み込んだ、唯一無二の表現。
✦ 見どころ(技法・色彩)
紙の表裏を活用した極めて実験的な印刷構造が特徴です。表面は薄茶色のヴェラン紙上に黒インクのみで直接刷られています。一方、裏面はクリーム色の紙の上に、まず型紙を用いて赤色や黄色のインクを部分的に刷り出し、その上から黒インクの木版を重ね刷りしています。単一の木版から単調な複製を作ることを拒み、光の透過性と色彩の階調を追求しました。
✦ この絵の舞台
タヒチ島内陸部の山間に位置する渓流と、岩間から湧き出る清泉「パペ・モエ(神秘なる水)」の現場が舞台です。ゴーギャンは、鬱蒼とした熱帯植物と切り立った岩肌が迫る自然環境の中で、水という生命の源泉と先住民の身体動作が織りなす神話的瞬間を捉えようとしました。自然と人間が不可分に融合した原初的な生活様式が表現されています。
✦ 時代背景
1894年のブルターニュ滞在期、ゴーギャンは西洋の都市産業文明に対する強い疎外感を抱いていました。彼はタヒチの汚されない自然と、そこに生きる人々の身振りを自らの芸術的理想像として見出します。単なる風景の記録にとどまらず、キリスト教の布教や植民地支配によって失われつつあったポリネシア固有の神話世界や原初的な生命力を、版画という媒体を通して西洋美術界へ提示しようと試みていた時代です。

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出典・参考資料
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