Noanoa Pl.39

ポスト印象派
Noanoa Pl.39
寸法
イメージサイズ:20.3 cm × 35.6 cm(シートサイズ:50.0 cm × 65.0 cm)
技法・素材
木版画(多色刷り)、手彩色水彩、グラファイト、紙
所蔵
オルセー美術館(パリ)、スミスカレッジ美術館(マサチューセッツ州)

西欧の都市文明と形骸化した美術規範に対する、強烈な拒絶と反逆。現実には失われてしまったタヒチの原初的な信仰と魂の理想郷を、自らの手で力強く再構築した祈りの刻印。

✦ 見どころ(技法・色彩)

太く明確な黒色の輪郭線によって色面を区切り、遠近法や明暗による立体感表現を排除した平坦な構成が特徴です。木版画においては、彫刻刀の鋭利な刻線と、あえて粗く削り残された木目の質感が印刷面に独特のテクスチャーを与えています。これにより、版画でありながら原始彫刻のような彫塑性と手触りを感じさせる、画期的な表現が生み出されています。

✦ この絵の舞台

本作品の舞台は、タヒチ島南西部に位置するマタイエア地区の熱帯風景、および古代ポリネシアの宗教的聖域であるマライです。キリスト教到来以前のタヒチに存在したとされる、人間と自然と神々が調和して共生していた伝説的な「黄金時代(マタ・ムア)」の理想郷を象徴的に再構築した空間が描かれています。

✦ 時代背景

1891年、ゴーギャンは西欧の都市文明への拒絶からタヒチへ渡りました。しかし首府パペーテはフランスの植民地支配とキリスト教の布教により、伝統的な信仰が徹底的に破壊されていました。失望した彼はマタイエア地区へ移住し、現地の伝承や学術書を研究します。1893年に帰国後、文明化によって喪失したタヒチの原初的信仰を蘇らせるべく『ノアノア』の編纂を開始しました。

✦ 鑑賞のための問い

荒々しく残された木目の質感から、あなたはどのような手触りを感じますか?

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