
- 寸法
- 約 39.4 × 26.7 cm
- 技法・素材
- 紙本墨画淡彩
- 所蔵
- メトロポリタン美術館
Album of Sketches by Katsushika Hokusai and His Disciples Pl.41 (19th century)
江戸時代
✦ 見どころ(技法・色彩)
筆の水分を極限まで抑えて紙に擦りつける「渇筆(ドライブラシ)」の技法が見どころです。かすれた線が紙の質感と作用し合い、鳥の羽毛の軽やかさや風を孕む様子をリアルに表現しています。また、濃密なベタ塗りを避け、墨の濃淡を主調としながら最小限の淡い色彩を施すことで、線の持つ表現力を最大限に引き立てています。
✦ この絵の舞台
特定の地名や風景は描かれておらず、純粋な紙の余白(無地の背景)の中に鳥と梅の枝が配置されています。これは、対象の有機的な形態や生命の本質的な動きに純粋にアプローチするための、東洋花鳥画における伝統的な空間処理です。実在の空間から対象を切り取り、無地の空間に「宙吊り」にすることで、鑑賞者の想像力に大気の揺らぎを委ねています。
✦ 時代背景
19世紀前半から中期にかけての江戸時代後期。1841年からの「天保の改革」により、浮世絵の主力であった役者絵や美人画が厳しく弾圧されました。絵師たちは検閲を逃れるため、花鳥画や風景画、弟子を育成する「絵手本」へと活動の主軸を移します。同時に、本草学の流行により、動植物を科学的かつ客観的に観察するリアリズムへの関心が高まっていた時代でもありました。

出典・参考資料
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