The Sower 種をまく人

1850年

バルビゾン派写実主義
The Sower
寸法
101.6 × 82.6 cm
技法・素材
油彩、カンヴァス
所蔵
ボストン美術館

19世紀のフランスにおいて、卑小とされていた農村での労働を、神聖さと古典的な威厳を伴う大画面に定着させた写実主義の画家である。

甘美な神話画への決別と、自らの出自である農民の真実を描き出すという強烈な芸術的宣言。苛酷な大地と対峙する無名の労働者に、普遍的な英雄性と神聖な尊厳を付与した、魂のモニュメント。

✦ 見どころ(技法・色彩)

滑らかな仕上げを避け、キャンバスの質感を残した荒々しい絵肌が見どころです。油分を抑えた粘り気のある絵具を、擦り付けるように塗り重ねています。また、見る人の視線を低く設定した仰角の構図を採用。手前の斜面を下る農夫の体が背景の地平線を突き抜け、空へと聳え立つような圧倒的な巨大感を生み出しています。

✦ この絵の舞台

舞台は、フランスのバルビゾン村に隣接するシェイ=アン=ビエールの平原です。広大な小麦畑が続く伝統的な農業地帯でした。季節は秋、10月から11月頃。来春の収穫に向けた冬小麦の播種作業が描かれています。時間帯は黄昏時で、手前の斜面は暗い影に包まれつつあります。

✦ 時代背景

1848年の二月革命で第二共和政が成立し、男子無制限普選制が導入されました。これまで政治的権利から排除されていた農民や労働者層が社会の前面に浮上した時代です。階級闘争へのブルジョワ階級の恐怖感が高まる中、本作が出品された1850年のパリ・サロンは、写実主義運動の確立を象徴する場となりました。

✦ 鑑賞のための問い

顔が影に隠されたこの農夫は、今どんな感情を抱きながら種を播いていると思いますか?

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