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The Sick Child I 病める子 I

1896年

家族記憶
The Sick Child I
寸法
イメージ:42.2 × 57.0 cm / シート:50.6 × 66.4 cm
技法・素材
カラー・リトグラフ、紙
所蔵
ミュンハ美術館、MoMA、シカゴ美術館、スコットランド国立美術館など
エドヴァルド・ムンク

ノルウェー

エドヴァルド・ムンクEdvard Munch

1863 – 1944

19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した、ノルウェーを代表する画家。

✦ 見どころ(技法・色彩)

以前の油彩画にあった叔母の全身像を大胆にトリミングし、純白の枕に沈む少女の横顔のみに焦点を収束させています。顔の右側にインクを乗せず白く残された紙の質感は、死を前にした乙女の頭部に輝く聖なる後光を暗示しています。

✦ この絵の舞台

舞台はオスロにあったムンク家の一角の病室。ベッドの上には、肺結核により15歳で亡くなったムンクの姉ヨハンネ・ソフィーが横たわっています。傍らには、悲しみのあまり深く頭を垂れ、彼女の右手を握る叔母カレン・ビョルスタッドが跪いています。

✦ 時代背景

19世紀末のヨーロッパ、特にスカンジナビア諸国では結核が蔓延し、深刻な社会問題となっていました。医療的な救済手段が皆無だった当時、結核による子供の臨終シーンは、多くの近代芸術家たちが好んで描いた普遍的な主題でした。

✦ 鑑賞のための問い

少女の視線の先には、何があると思いますか?

大きな枕に頭を預ける少女の横顔が、静かに浮かび上がっています。
その傍らには、深く頭を垂れる人物の姿が暗い影のように寄り添っています。

描かれているのは、画家のエドヴァルド・ムンクの姉、ヨハンネ・ソフィー。
1877年、彼女はわずか15歳の若さで肺結核によりこの世を去りました。

舞台は、オスロにあったムンク家の病室。
ベッドの横では、叔母のカレン・ビョルスタッドが暗いドレスをまとって跪いていました。
悲しみのあまり深く頭を垂れ、ソフィーの右手を握っていたのです。
この臨終の光景は、ムンクにとって終生消えることのない悲痛な記憶となります。

それから約20年後の1896年。
パリに滞在していたムンクは、この記憶を版画として再構築することに挑みました。
舞台は、パリで最も高い印刷技術を誇ったオーギュスト・クロの版画印刷所。
テスト印刷が行われた際、同行していたドイツ人画家のパウル・ヘルマンは、驚くべき光景を目撃します。

工房内に石版が並べられる中、ムンクは突如として両目を固く瞑りました。
そして人差し指を宙に突き出します。
まるで見えざるオーケストラを指揮するかのように、目を一度も開けることなく大声でクロに指示を出し始めたのです。

網膜が捉える客観的な現実をあえて遮断する。
自らの内なる記憶の直感だけで、印刷の工程を指揮しました。

  • この作品は 悲哀の詩人 の「あなたのための6作品」に入っています → 見る
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