
- 寸法
- 31 × 61 cm
- 技法・素材
- カンヴァスに油彩
- 所蔵
- 欧州個人蔵
Abstraction
1936年
✦ 見どころ(技法・色彩)
太く力強い黒の輪郭線で描かれた形に対し、赤、黄、青の鮮やかな原色の色面が、輪郭の内側に収まらず外側へとはみ出しているのが特徴です。レジェはこの「線と色彩の分離」によって、形と色が反発し合う視覚的なダイナミズムを生み出しました。また、遠近法を排除した平坦な画面により、モチーフが重力を持たずに浮遊しているような印象を与えます。
✦ この絵の舞台
特定の現実の空間を離れ、余白の多い「白い平滑な壁」をそのまま絵画空間に見立てています。そこに、海岸で採集されたヒトデ(星魚)を思わせる有機的な五角形のフォルムや、植物の葉、人工的なロープの結び目などが並置されています。都市の騒騒から離れた、自然界の静謐なミクロ宇宙が舞台となっています。
✦ 時代背景
1936年のフランスは、レオン・ブルム率いる「人民戦線」政権が誕生し、労働者に週40時間労働と初の有給休暇がもたらされた歴史的転換点でした。レジェはこの変革を支持し、芸術をエリートから大衆へ解放する「新リアリズム」を主導しました。労働者が得た「余暇」こそが人間性回復の鍵であると信じていました。

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