Abstrait
1940年
家族抽象

- 寸法
- 31.8 x 25.1 cm
- 技法・素材
- 紙に水彩、ペン、中国インク
- 所蔵
- 個人蔵
✦ 見どころ(技法・色彩)
硬質な黒インクのペン線が画面を幾何学的に分断し、複雑に交差する骨組みのような抽象形態を構築しています。この鋭利な線は、彼が手がけていた鉄彫刻のパーツを想起させます。冷徹なインクの線に対して、透明な水彩のウォッシュが重ねられ、ダークなトーンのなかに暖色や中間色が滲むエモーショナルな表現となっています。
✦ この絵の舞台
ゴンサレス一家が疎開したフランス南西部のロット県カバネスの田舎家が背景にあります。ナチス・ドイツの侵攻を恐れて逃れたこの地域は、緑豊かで起伏の激しい古い農村地帯でした。大都市パリの戦火や政治的緊張から物理的に遮断された閉鎖的な環境が、画家に極めて内省的な抽象ドローイングを描かせることになりました。
✦ 時代背景
1940年、フランスはナチス・ドイツの侵攻を受けて降伏しました。ゴンサレスは反ナチスの画家としてゲシュタポに追われていた娘婿ハンス・ハルトゥングを匿うため、パリを離れて疎開します。この逃亡生活のなかで、彼は金属素材や溶接トーチをすべて失い、立体的な彫刻制作が完全に不可能な状態に追い込まれました。

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