The Artist’s Garden in Giverny ジヴェルニーの芸術家の庭

1900年

印象派
The Artist’s Garden in Giverny
寸法
81.6 × 92.6 cm
技法・素材
キャンバスに油彩
所蔵
オルセー美術館
クロード・モネ

フランス

クロード・モネClaude Monet

1840 – 1926

「印象派の父」とも称される、フランスを代表する画家。 自然の風景や水面に反射する光、天候によって絶えず移り変わる情景を、鋭敏な感覚でキャンバスに捉えた作風で広く…

✦ 見どころ(技法・色彩)

手前から奥へと進む斜めの道による深い奥行きを持ちながらも、アイリスの斑点や木漏れ日による複雑な陰影、樹木が作り出す垂直線が織りなす平面的な装飾性を極限まで強調しています。支配的な紫のアイリスに対し、赤、黄、青、緑のタッチが豊かな色彩の和音を生み出しています。筆を極めて素早く奔放に動かし、絵の具を混ぜずに並べて置くことで、木漏れ日のちらつきを光の明滅としてキャンバスに定着させました。

✦ この絵の舞台

フランスのユーレ県ジヴェルニーにあるモネの邸宅の正面に位置する広大な庭園「クロ・ノルマン(ノルマンディーの囲い庭)」です。モネが自ら造園し、様々なグラデーションを成す紫とピンクのアイリスが密に植えられています。アイリスの上部を覆うように立ち並ぶ複数の高い樹木が画面に垂直な構造を与え、その幹の間からモネの有名なピンク色のレンガ造りの邸宅が遠方にかすんで見えるように配置されています。

✦ 時代背景

1900年、60歳に達していたモネは美術市場で無類の成功を収めて巨万の富を得ていました。この年、彼はロンドンのテームズ川の近代都市風景と、ジヴェルニーの自邸で長年かけて自ら造園した「水庭」および「クロ・ノルマン」の庭園シリーズという二つの野心的な連作を同時並行で進めていました。モネにとってこの庭は単なる趣味ではなく、絵画のために完璧に設計された「生きたアトリエ」でした。

✦ 鑑賞のための問い

木漏れ日が揺れるこの庭の小道を歩くとしたら、あなたはどんな香りがすると思いますか?

砂利の小道の両脇に、紫とピンクのグラデーションを成すアイリスが密に咲き乱れています。
上部を覆う高い樹木の幹の間からは、ピンク色のレンガ造りの邸宅が遠方にかすんで見えます。

1900年。
60歳に達していたクロード・モネは、美術市場で無類の成功を収め、巨万の富を得ていました。
この年、彼は二つの野心的な連作を同時並行で進めています。
ひとつはロンドンのテームズ川を描く近代都市風景。
そしてもうひとつが、フランスのユーレ県ジヴェルニーにある自邸の庭でした。
長年かけて自ら造園した「水庭」と「クロ・ノルマン」の庭園シリーズです。

モネにとって、このジヴェルニーの庭は単なる趣味の産物ではありません。
野生の野菊から高価なオリエンタルな外来種に至るまで、自ら苗を選定。
色彩の調和と高低差をコントロールしました。
季節の移り変わりに応じて完璧な絵画構図が常に現れるように設計された、絵画のための「生きたアトリエ」だったのです。

植物に対して狂信的ともいえる情熱を持っていたモネ。
首相のジョルジュ・クレマンソーや画家のカイユボットと交流。
珍しい花の苗や栽培技術について熱心に情報を共有し、交換し合っていました。
「私の庭は、愛を注いで少しずつ進められた、スローな作業なのだ」
彼はそう語っています。

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