Beethoven ベートーヴェン

- 寸法
- 47.6 × 45.7 × 12.7 cm
- 技法・素材
- 彩色・金箔化粧石膏レリーフ
- 所蔵
- メトロポリタン美術館
✦ 見どころ(技法・色彩)
19世紀の真っ白な大理石彫刻の常識を拒絶し、古代ギリシャの多色彩色を復活させています。石膏の表面に金箔を貼り、顔の影や背景に赤や茶の塗料を直接施すことで、彫刻の立体感と絵画の平面性を融合させています。
✦ この絵の舞台
具体的な風景の描写は全く存在せず、不気味で情熱的な「血のような赤」に塗装された背後パネルから、等身大に近いベートーヴェンの顔貌が突出しています。音楽が内包する超自然的なパワーを直接伝える精神的舞台として設定されています。
✦ 時代背景
19世紀末から20世紀初頭、特に1902年の没後75周年にかけて、ドイツやオーストリアではベートーヴェンを「絶対的な創造の天才」として讃える崇拝が最高潮に達していました。
血のように不気味で情熱的な赤い背景から、ひとつの顔がぬっと突き出しています。
激しくうねる縮れ毛。
そして、こちらを真っ向から射抜くような凄まじい眼差し。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンです。
いかにも「苦悩する天才」というイメージそのままの、劇的な姿に見えるでしょう。
当時の人々が抱いていた、神話的な英雄としてのベートーヴェン。
画家が想像力で極端に誇張して作り上げた顔だと、思われるかもしれません。
でも、この顔の骨格は、画家の想像の産物ではないのです。
1900年から1902年にかけて、シュトゥックはこのレリーフ彫刻を制作しました。
1902年は、ベートーヴェンの没後75周年にあたる年です。
当時のドイツやオーストリアでは、「ベートーヴェン崇拝」の熱狂が最高潮に達していました。
彼を絶対的な創造の天才として讃える動きです。
シュトゥック自身も、その熱狂に強く加担した一人でした。
彼は、自ら設計した邸宅「ヴィラ・シュトゥック」の音楽サロンを飾ろうとしました。
人類を導いた偉大な男性たちの肖像サイクルを構想したのです。
その壁画装飾の一部としてデザインされたのが、このベートーヴェンでした。
しかしシュトゥックは、頭の中で理想の天才像をでっち上げることはしませんでした。
- この作品は 情熱の革命家 の「あなたのための6作品」に入っています → 見る
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