Die Quelle (The Spring)
1895年
神話象徴主義天使
✦ 見どころ(技法・色彩)
黒い森の深緑と岩肌の焦茶色という重厚な大地の色をベースに、衣服や天使たちの柔らかな肌のトーンが祝祭的な光を放っています。彫刻的な男の身体の輪郭は、岩の質感と有機的に一体化しています。また、画家自身が模様を手描きした肉厚のオリジナル木製額縁に収められている点も大きな見どころです。
✦ この絵の舞台
豊かな森の木々と巨大な岩壁に囲まれ、澄んだ水が湧き出る神秘的な源泉のほとり。トーマが黒い森やアッパー・ライン地方で観察したドイツ固有の自然に基づいていますが、人物像が配置されることで、時間と場所を超越した古代の理想郷(アルカディア)へと変容しています。
✦ 時代背景
1890年代のドイツでは、アカデミズムの歴史画や印象派の光学処理に対抗する動きがありました。トーマはローマで交友した「ドイツ・ローマ派」の理念を受け継ぎ、古典的な思想と精神的象徴性を宿した心象風景を追求。本作が描かれた1895年は、彼がドイツ画壇の頂点へと上り詰めつつあった時期です。

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