Adam und Eva (Die Familie) アダムとイヴ(家族)
1912年
家族象徴主義ミュンヘン分離派

- 寸法
- 105 × 115 cm
- 技法・素材
- キャンバスに油彩
- 所蔵
- 個人蔵(元マックス・フォン・ブライヒャルト・コレクション)
✦ 見どころ(技法・色彩)
最大の特徴は、原色に近い高コントラストの色彩設計です。背景に深く沈み込むウルトラマリンブルーと濃厚なエメラルドグリーンが用いられ、アダムの褐色の肌、イヴの輝くような白い肌が見事な絵画的エネルギーを形成しています。また、初期の装飾的な平坦な線描から、表現主義的な肉厚の筆致と大胆なフォルム構築へと移行している点も重要な見どころです。
✦ この絵の舞台
舞台は「エデンの園」の一角ですが、伝統的な聖書画に見られるような甘美な風景ではありません。濃厚な暗闇と原始的な熱帯植物が生い茂る、ミステリアスな自然空間が広がっています。果実を巡る蛇の誘惑や神への裏切りといった「原罪」のドラマは意図的に排除され、原始の荒野において力強く生き抜く「人間最初の家族」の生命を肯定する空間として設定されています。
✦ 時代背景
1912年のミュンヘン分離派展で初公開されました。この時期、シュトゥックの描くイヴのイメージは、かつての男性を破滅へ導く邪悪なファム・ファタールから、温和で神聖な「全人類の母」へと移行していました。キリスト教的戒律に基づく罪の物語を、世紀末の自然主義および生命主義の文脈から「世俗の家族像」へと脱構築しようとする、きわめて進歩的な試みでした。

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