Nocturne: Blue and Gold – Old Battersea Bridge ノクターン:青と金―オールド・バターシー・ブリッジ

1872年

ジャポニスム夜景
Nocturne: Blue and Gold – Old Battersea Bridge

画像: Wikimedia Commons / Public Domain

寸法
68.3 × 51.2 cm
技法・素材
カンヴァスに油彩
所蔵
テート・ブリテン

絵画から物語や道徳的な主題を完全に排除し、音楽が音の詩であるように、純粋な色彩と形態のハーモニーによる視覚的な調和だけを追求すること。

✦ 見どころ(技法・色彩)

画面の9割以上を占める静謐な青のモノトーンの中に、遠景の橋の明かりや空から降り注ぐ花火の火花が黄金色の点で打たれ、「青と金」の鮮やかな色彩対比を生み出している。また、極端に高く引き伸ばされた旧バターシー橋の木造橋脚が画面を垂直・水平に横切るT字型の構図は、日本の浮世絵から着想を得たものである。絵の具を大量の溶剤で薄めた「ソース」を平筆で一気に塗り広げることで、筆の跡を残さず、ロンドンの夜気に漂う湿気や薄靄の質感を表現している。

✦ この絵の舞台

ロンドン西南部、テムズ川沿いのチェルシーとバターシーを隔てる旧バターシー橋周辺。テムズ川の上流側から下流に向かって北東方向を望む視点。遠景には新しく開通したアルバート橋の明かりが見え、上空には近隣の歓楽街クレモーン・ガーデンズから打ち上げられた花火が舞い降りている。

✦ 時代背景

19世紀後半のロンドンは急速な近代化の只中にあり、テムズ川沿いでは大規模な土木工事が進められていた。古い木造橋は次々と撤去され、近代的な鉄橋へと架け替えられていく過渡期であった。また、美術界では物語性や道徳的価値を排除し、純粋な視覚的美を追求する唯美主義が興隆し、日本から流入した浮世絵(ジャポニスム)が大きな影響を与えていた。

✦ 鑑賞のための問い

橋の上に立つ人影は、この静かな夜の川面を見つめながら何を想っているのでしょうか?

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