L’escrimeuse

L’escrimeuse
寸法
55.5 × 38 cm
技法・素材
油彩・木板
所蔵
個人蔵
ジャン・ベロー

フランス

ジャン・ベローJean Béraud

1849 – 1935

19世紀末から20世紀初頭のフランスにおいて、目まぐるしく変化する大通りの人間模様をスナップショットのように切り取った芸術家である。

時代を切り開く「新しい女性」への鋭い眼差し。自らも決闘文化に親しんだ画家が、剣を握る女性の自立と洗練を克明に記録した、時代の証言。

✦ 見どころ(技法・色彩)

コルセットで硬く絞られたウエストラインや、しなやかな革の手袋、剣の冷ややかな金属的光沢など、画家の確かな細部描写力が発揮されています。シックな黒の衣装の中で、左胸に刺繍された鮮烈な赤いハートが、強力な視覚的アクセントとして画面を引き締めています。

✦ この絵の舞台

19世紀末パリのフェンシング道場、または運動施設を備えた個人サロンです。当時、フェンシングは女性のエレガントなスポーツとして受容され始め、女性専用の稽古時間が設けられるようになりました。上流階級やブルジョワ階級の女性たちが最新の運動着に身を包み、武道に勤しむ洗練された空間が広がっていました。

✦ 時代背景

1890年代のフランスは、従来の性別役割分担に異議を唱え、自立を志向する「新しい女性」の概念が提示された時代でした。1884年のサロンで女性同士の決闘を描いた絵が物議を醸して以来、剣を手にする女性像は刺激的なモチーフとしてアート市場で大きな流行を見せていました。

✦ 鑑賞のための問い

彼女の左胸にある赤いハートは、何を意味していると思いますか?

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