Abendromanze 夕べのロマンス
1938年

- 寸法
- 縦位置ドローイング紙規格(版画用紙に準ずる)
- 技法・素材
- 紙、ドローイング(鉛筆・インク・チャコール)
- 所蔵
- ウィーン・ミュージアム
✦ 見どころ(技法・色彩)
本作は鉛筆、インク、または木炭を用いたドローイングです。色彩は完全に排除され、緻密な平行線を重ね合わせるハッチングなどの陰影描写によって、息の詰まるようなモノクロームの闇が構築されています。この厚い陰影の層は、外部の暴力的な熱狂から自己を守るための「アトリエの闇」を視覚化したものであり、画家の重い鬱状態を反映しています。
✦ この絵の舞台
本作の舞台は、光の届かない閉ざされた私的な室内空間、あるいは日没後の重鬱な薄明(トワイライト)の荒野とされています。しかし実際の画面には、山々や煙突のある工場、空を歩く巨大な人影など、現実と幻想が入り混じった不思議な風景が線画で描かれています。これは、ファシズムの影に侵食されていく画家の内面的な心象風景を可視化したものと言えます。
✦ 時代背景
1938年は、オーストリアがナチス・ドイツに併合(アンシュルス)された破局の年です。ウィーンの街頭がハーケンクロイツの旗で赤く染まる中、社会民主主義者であったヴィーナーは政治的帰属先と表現の自由を奪われました。全体主義の暴力的な熱狂が社会を覆い尽くし、個人のプライベートな領域さえもファシズムの恐怖に侵食されていく、極めて暗く絶望的な時代背景がありました。

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出典・参考資料
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