Abendnebel (around 1921)
霧表現主義
✦ 見どころ(技法・色彩)
表現主義的な色彩の解放と、装飾的な流動線が見事に融合しています。背景の険しい連峰は鮮烈なピンクと深い赤で塗られ、背後の冷たい青空と激しい色彩の不協和音を奏でます。一方で前景を覆う霧は、滑らかで幻想的な曲線を用い、紫や淡いラベンダー色の平坦な色面で描かれ、奇妙な静寂を生み出しています。
✦ この絵の舞台
夕闇の霧に包まれた、神秘的で幻想的な山岳の自然風景です。背景には天に向かって鋭角に立ち上がる山々の峰がそびえ立ち、前景には大地の裂け目から立ち上るように有機的な霧の層が地表を包み込んでいます。そこから生命力を失った数本の黒い枯れ木のシルエットが不気味に突き出ています。
✦ 時代背景
1921年のオーストリアは、第一次世界大戦の敗北からわずか3年しか経過しておらず、新国家としての脆弱性、天文学的なハイパーインフレーション、失業、そして激しい社会的不安の中にありました。弱冠20歳であったヴィーナー自身も、先行きが見えない不安な世界を生きていた時代です。

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