Cadmus and Harmonia カドモスとハルモニア

1877年

愛神話
Cadmus and Harmonia
寸法
148.5 × 89.5 cm
技法・素材
キャンバスに油彩
所蔵
ナショナル・トラスト、ワイトウィック・マナー(ウォルヴァーハンプトン)

✦ 見どころ(技法・色彩)

ハルモニアの腰をわずかに傾けた姿勢は、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を意識したものです。彼女の身体が描く緩やかなS字曲線は、大蛇の螺旋状のうねりと完璧に調和しています。また、透き通るような白い肌と赤金色の髪が、澄み切った青空や、深い緑と鈍い金が混ざり合う大蛇の鱗と強烈な対比を生み出しています。

✦ この絵の舞台

舞台は、カドモスとハルモニアがテーバイを去り、最終的に辿り着いた亡命の地イリュリア(現在のバルカン半島地域)の不毛な岩山です。ハルモニアの背後にそびえ立つ剥き出しの奇岩群は、これまでの過酷な旅路を物語っています。同時に、彼らに課せられた神々の無慈悲な運命を空間的に具現化する役割を果たしています。

✦ 時代背景

本作が制作された1877年は、イーヴリンがイタリアへの最初の本格的な研究旅行からイギリスへ帰国した直後にあたります。当時のイギリス美術界では、物語性や道徳性よりも純粋な色彩や形態の美を重んじる「唯美主義」が急速に台頭していました。彼女はスレード美術学校で培った人体描写力を駆使し、歴史画と裸体画を融合させました。

✦ 鑑賞のための問い

大蛇へと姿を変えた夫を見つめる彼女は、今どんな言葉をかけていると思いますか?

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