Wrestlers in a Circus
1909年
✦ 見どころ(技法・色彩)
動きによって視覚的にブレるレスラーたちの肉体を、素早く粗野なタッチで捉えています。ロイヤルブルーのタイツと、オレンジや赤系統の生々しい背中という強烈な補色のコントラストが特徴です。背景の観客席を暗いシルエットに還元することで、中央で爆発する生のエネルギーを際立たせています。
✦ この絵の舞台
ドレスデンで定期公演を行っていた巡回サーカスの特設円形テント内部です。赤、黄、緑を主体とした幾何学的で派手なサーカスマットの上で、2人の大柄なレスラーが力と力をぶつけ合っています。周囲には薄暗い観客席が広がり、まるで鑑賞者がリングのすぐ隣の最前列で試合を凝視しているかのような臨場感を与えています。
✦ 時代背景
1909年は、キルヒナーら「ブリュッケ」の活動が極めて精力的な実を結んでいた時期です。彼らは当時の主流であった古典的で冷たい肉体模写を非難し、生きている身体の熱量やスピード感、大衆的なスペクタクルを求めました。サーカスのレスラーたちの躍動は、伝統的な美術規則を粉砕するための最高のモチーフでした。

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