
- 寸法
- 60.5 × 55 cm
- 技法・素材
- キャンバスに油彩
- 所蔵
- 個人蔵
Girl with Mask
1949年
肖像画
✦ 見どころ(技法・色彩)
戦前の滑らかで彫刻的な表現とは異なり、太く堅固な黒い輪郭線で対象を切り取る幾何学的な構成が特徴です。色彩は光を反射しない乾いたアースカラーやパステル調が用いられています。この生硬な表現によって、人間が心に負った深い傷と、表皮を固定するような冷淡さが逆説的に視覚化されています。
✦ この絵の舞台
本作の背景には、窓や家具などの具体的な物理的要素が一切描かれていません。1949年、大空襲で破壊し尽くされたベルリンの廃墟から目を背けるように、画家は外界から完全に遮断された心理的な閉鎖空間を作り出しました。それは、傷ついた人間が自らを守るための、精神的なシェルターとしての役割を果たしています。
✦ 時代背景
1949年は、東西ドイツが分断され、ベルリンが冷戦の最前線となった年です。戦後の美術界では、新しい民主主義の象徴として抽象画が急速に台頭していました。ベルリン造形美術大学の初代学長となったホーファーは、人間の姿を消し去る抽象画の流行に激しく抵抗し、具象画の精神性を守るための厳しい論争の渦中にありました。

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