Mo II

1954年

Mo II
寸法
画面: 38.3 × 55.0 cm、シート: 50.0 × 64.9 cm
技法・素材
ヴェラム紙に多色スクリーン印刷
所蔵
シュテーデル美術館(フランクフルト・アム・マイン)

✦ 見どころ(技法・色彩)

厚紙の上に、白、黄、緑、赤、ライトブルー、ウルトラマリン、そして深い黒を重ねた多色スクリーン印刷(シルクスクリーン)です。画面中央の巨大な黒い塊から伸びる繊細な線が、周囲の鮮やかな原色と交感しています。周囲に意図的に配置された「白の島々」が、黒の領域が広がりすぎるのを抑え込み、画面全体が固定されず常に変容し続けるようなダイナミズムを生み出しているのが見どころです。

✦ この絵の舞台

実在の風景ではなく、世界の始まりの暗闇から浮かび上がる宇宙的な聖山、あるいは絶対的な暗黒の引力に対峙する精神的エネルギーの宇宙空間が舞台です。タイトルの「Mo」はラテン語の「山」と、ノアの箱舟が漂着した聖なる山「アララト山」の響きを重ね合わせた造語であり、生命の根源的なエネルギーが生成されるメタフォリカルな場所が描かれています。

✦ 時代背景

1954年の西ドイツは、戦後の目覚ましい経済復興を遂げ、消費社会へと邁進していました。同時に、冷戦下の政治的緊張のなかで、抽象美術は「西欧民主主義」と「精神の自由」の象徴として国策的にも保護されていました。ナチス政権下の弾圧を生き抜いたバウマイスターは、物質主義の時代にあえて精神の深淵に向き合い、完全な自由を表明するシンボルとしてこの作品を生み出しました。

✦ 鑑賞のための問い

巨大な黒い塊から伸びる細い線は、周囲の色とどんな会話をしているように見えますか?

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