Ronmay ロンマイ
1917年
表現主義第一次世界大戦肖像画

- 寸法
- 75.5 × 59.5 cm
- 技法・素材
- キャンバスに油彩
- 所蔵
- 個人蔵
✦ 見どころ(技法・色彩)
洗練された色彩分割を捨て去り、より原始的で強固な表現へと回帰しています。モデルの顔や身体は、パラオの集会所に飾られた木彫りの彫刻を思わせる、強烈な黒い輪郭線で荒々しく縁取られています。暗い緑、野性的な茶色、不穏な赤といった不調和な色彩がキャンバスに直接置かれ、背景を抽象化して人物を前面に押し出すことで、記念碑的な威厳を生み出しています。
✦ この絵の舞台
本作に描かれているのは、西太平洋のパラオ諸島(当時はドイツ領ミクロネシア)の女性、ロンマイです。彼女は現地部族長の娘であり、1914年にパラオを訪れた画家を厚くもてなしました。しかし、この絵が実際に描かれたのはパラオではなく、第一次世界大戦の戦場から帰還した画家のベルリンのアトリエです。失われた楽園の記憶が、神話的な空間として再構築されています。
✦ 時代背景
1917年、第一次世界大戦のさなか。画家ペヒシュタインはドイツ帝国陸軍の兵士として召集され、西部戦線のソンムの戦いという凄惨な塹壕戦を経験しました。軍役を解かれてベルリンに戻った彼は、深い戦争トラウマに苦しんでいました。極限の精神状態の中で、彼は都市文明や戦争の狂気から逃れるように、かつて訪れたパラオの原始的な生命力に救済を求めたのです。

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