Fisherman’s Wife 漁師の妻
1920年

- 寸法
- 100 × 124 cm
- 技法・素材
- パネルにマロフラージュされたキャンバスに油彩
- 所蔵
- アントウェルペン王立美術館 (KMSKA)
✦ 見どころ(技法・色彩)
キャンバスをパネルに貼り付ける「マロフラージュ」という手法が使われています。これにより絵の具の物質的な力強さが強調され、土着的な暗い色彩が際立っています。避難期の明るい色彩から一転して選ばれた重く沈んだ色は、画家が直面した厳しい現実をそのまま映し出しています。
✦ この絵の舞台
ベルギーの沿岸都市オーステンデが舞台です。第一次世界大戦後の1919年に画家が帰還したこの地には、海と共に生きる労働者たちの厳しい現実と、重く苦しい生活がありました。避難先での明るい色彩から一転し、画家が直面した土着的な労働者の姿が、この絵の背景に色濃く反映されています。
✦ 時代背景
第一次世界大戦が終結し、戦禍から人々が日常を取り戻そうとしていた時代です。画家自身も戦争で負傷し、イギリスへの避難を経て故郷に帰還しました。戦争の傷跡が残る中で、労働者たちの厳しい現実に向き合う表現主義的なアプローチが深まっていった時期にあたります。
暗く、重い色彩。そこに一人の女性が描かれています。ベルギーの沿岸都市オーステンデの、漁師の妻。彼女の姿は、土のように沈んだ色で塗り込められている。
描いたのは、画家コンスタント・ペルメケ。彼の人生は、戦争によって大きく引き裂かれました。第一次世界大戦での負傷。そして、イギリスへの避難。故郷を離れたイギリスの地で、彼は明るい色彩を用いて絵を描き、過酷な状況の中で光を求めていたのかもしれません。
しかし、1919年。ペルメケはついに、オーステンデへと帰還します。そこで彼を待っていたのは、美しい風景ではありませんでした。労働者たちの、厳しい現実。海と共に生きる人々の、重く苦しい生活がそこにあったのです。
明るい色で描くことは、もうできなかった。
- この作品は 郷愁の語り部 の「あなたのための6作品」に入っています → 見る
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